連立方程式の利用(文章問題)について、さまざまなパターンの解き方をまとめておきます。
連立方程式の文章題で、解き方に迷ったときにはこの記事を参考にしてください。
この記事を通して以下のことが理解できます。
- 連立方程式の利用の解き方手順
- さまざまなパターンの文章問題の解き方
個数と代金の利用問題
1個120円のみかんと1個200円のりんごを合わせて12個買ったところ、代金の合計が2080円になった。このとき、みかんとりんごをそれぞれ何個ずつ買ったか求めなさい。
みかんを\(x\)個、りんごを\(y\)個とすると
みかん | りんご | 合計 | |
個数 | $$x個$$ | $$y個$$ | $$12個$$ |
代金 | $$120x円$$ | $$200y円$$ | $$2080円$$ |
それぞれこのように表すことができます。
個数と代金でそれぞれ、\(x+y=12\)、\(120x+200y=2080\) という方程式が作れるので
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x +y = 12 \\ 120x+200y = 2080 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
という連立方程式が作れます。あとはこれを解けば答えが求まります。
答え
$$みかん:4個 りんご:8個$$
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〇桁の自然数の利用問題
〇桁の自然数といった問題を考える場合には、次のことを頭に入れておきましょう。
十の位を \(x\)、一の位を \(y\)とすると、2桁の自然数は
$$\color{red}{10x+y}$$
と表すことができる。
2桁の自然数があり、十の位の数と一の位の数の和は13で、十の位の数と一の位の数を入れかえた数は、もとの数より27小さい。もとの2桁の自然数を求めなさい。
十の位の数を \(x\)、一の位の数を \(y\)とすると
このように表すことができるので
十の位の数と一の位の数を入れかえた数は、もとの数より27小さい。
この部分から、\(10y+x=(10x+y)-27\) と表すことができます。
この方程式を整理すると
$$\begin{eqnarray}10y+x&=&(10x+y)-27\\[5pt]-9x+9y&=&-27 \\[5pt]両辺を(-9)で割ると\\[5pt]x-y&=&3\end{eqnarray}$$
となります。
また、それぞれの位の和は13になるということから、\(x+y=13\) という式が作れ
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x +y = 13 \\ x-y = 3 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
という連立方程式が完成しました。あとは、これを解くだけです。
答え
$$85$$
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速さの利用問題
速さに関する文章問題を解くためには、以下の式を頭に入れておきましょう。
(道のり)=(速さ)×(時間)
(速さ)=(道のり)÷(時間)
(時間)=(道のり)÷(速さ)
以下のように、「みはじ」の表を使って覚えるとラクですね!
家から9㎞はなれた駅へ行った。はじめは時速4㎞で歩き、途中から時速6㎞で走ったら全体で2時間かかった。歩いた道のり、走った道のりをそれぞれ求めなさい。
このように、途中で速さが変わるような文章問題では以下のような表を作るとラクに方程式を作ることができます。
歩いた道のりを \(x\)km、走った道のりを \(y\)kmとすると
次のように表を埋めることができます。
速さには合計がないので、斜線を引いておきます。
次に、「み・は」から「じ」を表します。
すると、すべての表が埋まったので、道のりと時間の和に注目して
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x +y = 9 \\ \frac{x}{4}+\frac{y}{6} = 2 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
という連立方程式を作ることができます。あとは計算あるのみ!
答え
$$歩いた道のりは6km、走った道のりは3km$$
練習問題はこちら
>方程式練習問題【連立方程式の文章問題~道のり・速さ・時間~】
池をまわる利用問題
池をまわるという問題では、以下の点を頭に入れておきましょう。
1周1500mの池のまわりを、AくんとBくんは同じ地点から同時に出発して、それぞれ一定の速さで走ることにした。2人が反対方向に走ったところ、5分後に初めて出会った。2人が同じ方向に走ったところ、30分後にAくんがBくんに追いついた。AくんとBくんの走る速さをそれぞれ求めなさい。
Aくんの速さを\(x\)、Bくんの速さを\(y\) とすると
反対方向に進んだときには5分で2人が出会っていることから、それぞれが進んだ道のりは次のように表せます。
$$Aくんの道のり=x\times 5=5x (m)$$
$$Bくんの道のり=y\times 5=5y (m)$$
そして、2人の進んできた道のりを合わせると池1周分になるので、\(5x+5y=1500\) という方程式が作れます。
同じ方向に進んだ場合、30分後にAくんがBくんに追いついたということから、それまでに2人が進んだ道のりは次のように表せます。
$$Aくんの道のり=x\times 30=30x (m)$$
$$Bくんの道のり=y\times 30=30y (m)$$
追いついた場合には、2人の進んできた道のりの差が池1周分になるので、\(30x-30y=1500\) という方程式が作れます。
よって
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 5x+5y=1500 \\ 30x-30y=1500 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
という連立方程式を作ることができます。あとは計算あるのみ!
ただ、このままの計算だと数が大きくて大変なので、それぞれの式を簡単にしてから計算をしていきましょう。
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+y=300 \\ x-y=50 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
答え
$$Aくん:分速175m、Bくん:分速125m$$
列車の利用問題
列車がトンネルや鉄橋を通り抜けるという問題では、次のことを頭に入れておきましょう。
ある列車が、1400mのトンネルに入り始めてから出終わるまでに78秒かかり、同じ速さで540mの鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまでに35秒かかるという。この列車の長さを\(x\)m、速さを秒速\(y\)mとして連立方程式を立てて、列車の長さと速さを求めなさい。
トンネルを通り抜けるためには、トンネルと列車の長さ分だけ進む必要があります。
78秒でトンネルを通り抜けたということから
このように式を作ることができます。
鉄橋の場合も同様に考えると
このように表すことができます。
よって
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 78y=1400+x \\ 35y=540+x \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
このように連立方程式を完成させることができます。あとは計算あるのみ!
答え
$$列車の長さ:160m、速さ:秒速20m$$
生徒数の割合の利用問題
割合、パーセントを考える問題では、以下のことを頭に入れておきましょう。
また、次のことも覚えておきましょう。
1割=10%
1分=1%
ある学校では、バス通学をしている生徒は全校生徒300人のうち18%である。男女別にみると、男子の10%、女子の25%がバスで通学している。全校の男子の人数を\(x\)人、女子の人数を\(y\)人として、それぞれの人数を求めなさい。
パーセントを文字や数字で正確に表すことができるかがポイントです。
300人の18%とは、\(300\times 0.18=54人\)
男子\(x\)人の10%とは、\(x\times 0.1=0.1x人\)
女子\(y\)人の25%とは、\(y\times 0.25=0.25y人\)
このように、それぞれを表すことができます。
男子 | 女子 | 計 | |
人数 | $$x人$$ | $$y人$$ | 300 |
バス通学の人数 | $$0.1x人$$ | $$0.25y人$$ | 54人 |
男女の人数、バス通学の人数の和に注目すると
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+y=300 \\ 0.1x+0.25y=54 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
このように連立方程式を完成させることができます。あとは計算あるのみ!
答え
$$男子:140人、女子:160人$$
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>方程式練習問題【連立方程式の文章問題~割合(パーセント)~】
割合、パーセント増減の利用問題
ある工場では、昨年は製品Aと製品Bを合わせて800個つくりました。今年は去年に比べ製品Aを10%少なく、製品Bを10%多くつくったので、全体として4%少なくなった。今年の製品AとBの生産数を求めなさい。
昨年と今年を比較した問題です。問われているのは今年の生産数なのですが、比較元となっている昨年の個数を文字で置いて式を作っていきましょう。
昨年の製品Aの生産数を\(x\)個、製品Bの生産数を\(y\)個とすると
製品Aの今年は、10%少なくなっているので、\(x\times 0.9=0.9x\)個
製品Bの今年は、10%多くなっているので、\(y\times 1.1=1.1y\)個
全体の今年は、4%少なくなっているので、\(800\times 0.96=768\)個
と表すことができます。
製品A | 製品B | 計 | |
昨年 | $$x個$$ | $$y個$$ | $$800個$$ |
今年 | $$0.9x個$$ | $$1.1y個$$ | $$768個$$ |
昨年と今年、それぞれの和に注目すると
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+y=800 \\ 0.9x+1.1y=768 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
このように連立方程式を完成させることができます。
そして、この連立方程式を解くと\((x,y)=(560,240)\) となるのですが…
ここで、注意!!
この方程式によって求められる \(x,y\) の値は去年の個数です。
ここから今年の個数に変換する必要があります。
製品Aの今年の個数は
$$560\times 0.9=504個$$
製品Bの今年の個数は
$$240\times 1.1=264個$$
となります。
答え
$$製品A:504個、製品B:264個$$
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>方程式練習問題【連立方程式の文章問題~割合(パーセント)~】
濃度、食塩水の利用問題
5%の食塩水と8%の食塩水を混ぜて、6%の食塩水を300gつくりたい。2種類の食塩水をそれぞれ何gずつ混ぜればよいか求めなさい。
食塩水の問題では、食塩の量に注目しましょう!
5%の食塩水を\(x\)、8%の食塩水を\(y\) とすると
このように、食塩の量の和について方程式をつくることができます。
よって
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+y=300 \\ 0.05x+0.08y=18 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
このように連立方程式を完成させることができます。
答え
$$5%の食塩水:200g、8%の食塩水:100g$$
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比を使った利用問題
生徒数の男女の比が8:5である中学校で、部活動をしている生徒の男女の比は3:2、部活をしていない生徒の男女の比は7:4である。部活動をしている生徒が150人のとき、この学校の男子の生徒数を\(x\)人、女子の生徒数を\(y\)人として、それぞれの人数を求めなさい。
比を扱う問題では、次の式を頭に入れておきましょう。
まずは、全校生徒の人数に注目すると
$$\begin{eqnarray} x:y&=&8:5\\[5pt]5x$=$8y\end{eqnarray}$$
という方程式を作ることができます。
次に、部活をしている生徒の男女比が3:2であり、全体で150人いるので
$$部活をしている男子=150\times \frac{3}{5}=90人$$
$$部活をしている女子=150\times \frac{2}{5}=60人$$
このように表すことができます。
このことから、それぞれの値を表でまとめると次のようになります。
男子 | 女子 | |
全体 | $$x$$ | $$y$$ |
部活している | $$90$$ | $$60$$ |
部活していない | $$x-90$$ | $$y-60$$ |
部活をしていない生徒の比は、7:4だから
$$\begin{eqnarray}(x-90):(y-60)&=&7:4\\[5pt]4(x-90)&=&7(y-60)\\[5pt]4x-360&=&7y-420\\[5pt]4x-7y&=&-60 \end{eqnarray}$$
このように方程式を作ることができます。
よって
$$\displaystyle{\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 5x=8y \\ 4x-7y=-60 \end{array} \right. \end{eqnarray}}$$
このように連立方程式を完成させることができます。
答え
$$男子:160人、女子:100人$$
連立方程式の利用問題まとめ
連立方程式の利用問題は、入試では必須となる単元の1つです。
いろんなパターンの文章題を何度も練習して、解法のコツを身につけていきましょう。