一次方程式の利用(文章問題)について、さまざまなパターンの解き方をまとめておきます。
一次方程式の文章題で、解き方に迷ったときにはこの記事を参考にしてください。
この記事を通して以下のことが理解できます。
- 一次方程式の利用の解き方手順
- さまざまなパターンの文章題の解き方
一次方程式の利用問題の解き方
- 文章をよく読み、図や表を書きながら数量の関係を理解する。
- 基本的には求めたいものを\(x\) と表す。
- 等しい数量の関係を方程式で表す。
- 方程式を解く。
- 単位をつけて答えを出す。
方程式の利用(文章問題)を解くためには文章をよく読み、数量の関係を理解することが大切です。
自分なりに絵や図をかくことで読解していきましょう。
基本的には求めたいものを\(x\)とすることで、方程式を作っていきます。
中には例外もあるので、それは以下の解説にて確認してください。
方程式の利用問題を解けるようにするためには、たくさんの経験を積むことが大事です。
いろんな問題を解くことで、式のつくり方を頭に入れていきましょう。
個数と代金の利用問題
同じジュース3本と、1個200円のケーキを2個買って、代金760円を払った。ジュース1本の値段を求めなさい。
(ジュース3本)+(ケーキ2個)=(代金760円)という式が成立します。
ジュースの値段を\(x\)円とすると
\(ジュース3本分の代金=3\times x=3x\)
\(ケーキ2個分の代金=200\times 2=400\)
よって、\(3x+400=760\) という式がつくれます。
$$\begin{eqnarray} 3x+400&=&760\\[5pt]3x&=&760-400\\[5pt]3x&=&360\\[5pt]x&=&120\end{eqnarray}$$
答え
$$120円$$
練習問題はこちら
おつりの利用問題
2000円で、ケーキ3個と200円のジュース3本買うと、おつりが200円だった。ケーキ1個の値段を求めなさい。
$$(おつり)=(支払い)-(代金)$$
おつりに関する問題では、上の関係式を覚えておきましょう。
ケーキ1個の値段を\(x\)円とすると、買い物の代金は\(3x+600\)円と表すことができます。
よって、\(2000-(3x+600)=200\) という方程式がつくれます。
$$\begin{eqnarray} 2000-(3x+600)&=&200\\[5pt]2000-3x-600&=&200\\[5pt]-3x&=&200-1400\\[5pt]-3x&=&-1200\\[5pt]x&=&400\end{eqnarray}$$
答え
$$400円$$
練習問題はこちら
多い、少ないの利用問題
ある数を2倍は、もとの数よりも3大きくなる。ある数を求めなさい。
ある数を\(x\)とすると、\(2x=x+3\) という方程式がつくれる。
$$\begin{eqnarray} 2x&=&x+3\\[5pt]2x-x&=&3\\[5pt]x&=&3\end{eqnarray}$$
答え
$$3$$
ある数から4をひいた数の3倍は、もとの数よりも2小さくなる。ある数を求めなさい。
ある数を\(x\)とすると、\(3(x-4)=x-2\) という方程式がつくれる。
$$\begin{eqnarray} 3(x-4)&=&x-2\\[5pt]3x-12&=&x-2\\[5pt]3x-x&=&-2+12\\[5pt]2x&=&10\\[5pt]x&=&5\end{eqnarray}$$
答え
$$5$$
合わせて〇個の利用問題
50円切手と80円切手を合わせて20枚買ったら、代金の合計は1240円だった。50円切手と80円切手をそれぞれ何枚ずつ買ったか求めなさい。
合わせて〇個という利用問題では、2つの数量のうち片方を\(x\)とすると、もう一方の数量も\(x\)を使って表すことができます。
50円切手の枚数を\(x\)枚とすると、80円切手の枚数は合計から50円切手の枚数を引くことで表せるので、\((20-x)\)枚と表せます。
50円切手 | 80円切手 | 合計 | |
枚数 | $$x枚$$ | $$20-x枚$$ | 20枚 |
代金 | $$50x円$$ | $$80(20-x)円$$ | 1240円 |
代金の合計が1240円になることから
$$50x+80(20-x)=1240$$
このように方程式をつくることができます。
$$\begin{eqnarray} 50x+80(20-x)&=&1240\\[5pt]50x+1600-80x&=&1240\\[5pt]-30x&=&1240-1600\\[5pt]-30x&=&-360\\[5pt]x&=&12\end{eqnarray}$$
よって、50円切手の枚数は12枚だと分かったので、80円切手の枚数は、\(20-12=8\)枚となります。
答え
$$50円切手:12枚 80円切手:8枚$$
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過不足の利用の問題①
鉛筆を何人かの子どもに分けるのに、1人に3本ずつ分けると6本余り、4本ずつ分けると12本足りない。このとき、鉛筆は全部で何本あるか求めなさい。
1人に3本ずつ分けるとき、4本ずつ分けるとき
それぞれのシチュエーションは違えど、もともとの鉛筆の本数は同じです。
そこに注目して方程式を作っていきます。
今回の問題では、鉛筆の本数を求めろとなっているのですが、鉛筆を\(x\)本とすると難しくなってしまいます…
なので、過不足の問題では子どもの人数を\(x\)人として話を進めていきます。
子どもの人数を\(x\)人とすると
子どもに鉛筆を3本ずつ分けて6本余るということから次のような式ができます。
このとき、鉛筆の本数は全部で\((3x+6)\)本と表すことができます。
一方、4本ずつ分けると12本足りないという場合には
鉛筆の本数は全部で\((4x-12)\)本と表すことができます。
それぞれ、配り方は違えど鉛筆の本数は等しくなるはずだから
$$3x+6=4x-12$$
という方程式ができあがりました。
あとは方程式を解いていくだけですね。
$$\begin{eqnarray} 3x+6&=&4x-12\\[5pt]3x-4x&=&-12-6\\[5pt]-x&=&-18\\[5pt]x&=&18\end{eqnarray}$$
以上より、子どもの人数は18人だということが分かりました。
しかし、答えとして求めたいのは鉛筆の本数です。
\(x=18\)を先ほど表した鉛筆の本数である\(3x+6\) または\(4x-12\) に代入します。
$$3x+6=3\times 18+6=60本$$
答え
$$60本$$
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過不足の利用の問題②
長いす1脚に生徒が5人ずつ座ると10人座れず、6人ずつ座ると2人だけ座った長いすが1脚できた。生徒の人数を求めなさい。
この問題では、イメージ図を書くことで式が作りやすくなります。
長いすの数を\(x\)脚とすると
それぞれこのように生徒の人数を表すことができます。
2人だけ座った長いすが1脚できた。
ここの文章から、「4人分の空きがある長いすが1脚ある」というのを想像することがポイントですね。
以上より、\(5x+10=6x-4\)という方程式ができあがります。
$$\begin{eqnarray} 5x+10&=&6x-4\\[5pt]5x-6x&=&-4-10\\[5pt]-x&=&-14\\[5pt]x&=&14\end{eqnarray}$$
よって、長いすは全部で14脚とわかりました。
生徒の人数は、\(x=14\)を\(5x+10\) または\(6x-4\) に代入すると求めれます。
$$5x+10=5\times 14+10=80人$$
答え
$$80人$$
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年齢の利用問題
Aくんは10歳、Aくんのお父さんは40歳です。お父さんの年齢がAくんの年齢の3倍になるのは何年後か。また、そのときのAくん、お父さんの年齢はいくつになるか求めなさい。
お父さんの年齢がAくんの年齢の3倍になるのが\(x\)年後とすると
$$\begin{eqnarray}3(10+x)&=&40+x\\[5pt]30+3x&=&40+x\\[5pt]3x-x&=&40-30\\[5pt]2x&=&10\\[5pt]x&=&5 \end{eqnarray}$$
よって、5年後にお父さんはAくんの3倍になることが分かりました。
そのときのAくんの年齢は、\(10+5=15\)歳。
お父さんの年齢は、\(40+5=45\)歳。
答え
$$5年後$$
$$Aくん:15歳 お父さん:45歳$$
平均の利用問題
平均を扱う文章問題では、以下のポイントを頭に入れておきましょう。
$$(合計)=(平均)\times (人数、個数)$$
Aくんはこれまで数学のテストを4回受けて、平均点は65点でした。次に受けたテストを加え、5回分の平均点を求めると70点になった。このとき、Aくんが5回目に受けたテストの点数を求めなさい。
5回目に受けたテストの点数を\(x\)点とすると
4回目までに受けたテストの合計点は
$$65\times 4=260点$$
5回目までに受けたテストの合計点は、\(x\)点を加えて、\((260+x)\)点と表すことができます。
さらに、5回分の平均点が70点であることから、5回分の合計点は\(70\times 5=350点\)と表すこともできます。
よって、\(260+x=350\) という方程式が作れます。
$$\begin{eqnarray}260+x&=&350\\[5pt]x&=&350-260\\[5pt]x&=&90 \end{eqnarray}$$
答え
$$90点$$
割合の利用問題
割合の問題では、次のことを頭に入れておきましょう。
また、次のことも覚えておきましょう。
1割=10%
1分=1%
\(x\)の\(15\%\)は3である。このとき、\(x\)の値を求めなさい。
\(x\)の\(15\%\)とは、\(0.15x\) と表すことができます。
よって、方程式は次のようになります。
$$\begin{eqnarray} 0.15x&=&3\\[5pt]0.15x\times 100&=&3\times 100\\[5pt]15x&=&300\\[5pt]x&=&20\end{eqnarray}$$
答え
$$20$$
\(x\)の3割引きは840円である。このとき、\(x\)の値を求めなさい。
\(x\)の3割引きとは、\(0.7x\) と表すことができます。
よって、方程式は次のようになります。
$$\begin{eqnarray} 0.7x&=&840\\[5pt]0.7x\times 10&=&840\times 10\\[5pt]7x&=&8400\\[5pt]x&=&1200\end{eqnarray}$$
答え
$$1200円$$
\(x\)の\(5\%\)増しは63人である。このとき、\(x\)の値を求めなさい。
\(x\)の\(5\%\)増しとは、\(1.05x\) と表すことができます。
よって、方程式は次のようになります。
$$\begin{eqnarray} 1.05x&=&63\\[5pt]1.05x\times 100&=&63 \times 100\\[5pt]105x&=&6300\\[5pt]x&=&60\end{eqnarray}$$
答え
$$60人$$
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食塩水、濃度の利用問題
\(5\%\)の食塩水が300gあります。この食塩水に水を加えて\(4\%\)の食塩水をつくるとき、加える水は何gにすればよいか求めなさい。
食塩水の問題では、食塩の量に注目すると方程式が作れます。
加える水の量を\(x\)gとすると
混ぜ合わせる前の食塩の量の合計は15g
混ぜ合わせた後の食塩の量は、\((12+0.04x)\)g
それぞれが等しくなるはずなので、\(15=12+0.04x\) という方程式が作れます。
$$\begin{eqnarray}15&=&12+0.04x\\[5pt]-0.04x&=&12-15\\[5pt]-0.04x&=&-3\\[5pt]4x&=&300\\[5pt]x&=&75 \end{eqnarray}$$
答え
$$75g$$
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道のり、速さ、時間の利用問題
速さに関する利用問題では、以下の関係式を覚えておきましょう。
(道のり)=(速さ)×(時間)
(速さ)=(道のり)÷(時間)
(時間)=(道のり)÷(速さ)
以下のように、「みはじ」の表を使って覚えるとラクですね!
家から学校までの間を自転車で往復するのに、行きは時速10km、帰りは時速15㎞で走ったところ、往復で2時間かかった。このとき、家から学校までの道のりを求めなさい。
家から学校までの道のりを\(x\)とすると
行き | 帰り | |
道のり | $$x$$ | $$x$$ |
速さ | $$10$$ | $$15$$ |
時間 | $$\color{red}{\frac{x}{10}}$$ | $$\color{red}{\frac{x}{15}}$$ |
$$行きの時間=x\div 10=\frac{x}{10}時間$$
$$帰りの時間=x\div 15=\frac{x}{15}時間$$
行きと帰りの時間はそれぞれ上のように表せます。
合計時間が2時間ということから
$$\frac{x}{10}+\frac{x}{15}=2$$
という方程式が作れます。
$$\begin{eqnarray}\frac{x}{10}+\frac{x}{15}&=&2\\[5pt]\frac{x}{10}\times 30+\frac{x}{15}\times 30&=&2\times 30\\[5pt]3x+2x&=&60\\[5pt]5x&=&60\\[5pt]x&=&12 \end{eqnarray}$$
答え
$$12km$$
兄が家を出発してから12分後に弟が家を出発し、兄を追いかけた。兄の歩く速さは分速60m、弟の走る速さは分速120mのとき、弟は家を出発してから何分後に兄に追いつくか求めなさい。
追いつくということは、2人が進んだ道のりが等しい!がポイントです。
弟が家を出発してから兄に追いつくまでの時間を\(x\)分とすると、兄は弟より12分多く進んでるので時間は、\((x+12)\)分と表せます。
兄 | 弟 | |
道のり | $$\color{red}{60(x+12)}$$ | $$\color{red}{120x}$$ |
速さ | $$60$$ | $$120$$ |
時間 | $$x+12$$ | $$x$$ |
$$兄の道のり=60\times (x+12)=60(x+12)$$
$$弟の道のり=120\times x=120x$$
二人の道のりはそれぞれ上のように表すことができます。
追いついたということは、2人の道のりが等しくなったということだから
\(60(x+12)=120x\) という方程式が作れます。
$$\begin{eqnarray}60(x+12)&=&120x\\[5pt]60x+720&=&120x\\[5pt]-60x&=&-720\\[5pt]x&=&12 \end{eqnarray}$$
答え
$$12分後$$
練習問題はこちら
>方程式練習問題【一次方程式の文章問題~道のり・速さ・時間~】
一次方程式の利用問題まとめ
いろいろなパターンの文章問題がありましたが、1つ1つは特に難しいものではありませんでしたね。
速さ、割合など初見では難しく感じる問題であっても注目すべき点を知っている人にとっては楽勝の問題です。
何度も練習して、解法のコツを身につけていきましょう。